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【連載第3回】SMOプロジェクトサポーターズ・レビュー:特別講座「持続性を高める 人・企業・地域の関係性を考えるⅡ(2026年2月28日(土))」活動レポート(HBMS 10期生 熊谷健太)

【第3回:SMOプロジェクトサポーターズ・レビュー】

SMO(Small and Medium sized Organizationsの略、中小・中堅規模組織)の課題解決を目指し、研究活動から教育プログラム開発まで一貫した取り組みを進めるSMOフロンティア研究所の活動の「今」を、SMOプロジェクトサポーターの客観的な視点と率直なレビューでお届けします。

 

今回は、ひと・しごと・つながりラボ代表の木谷宏 教授および、客員研究員の皆様によるオムニバス形式の授業の様子です。「人と企業と地域」をどのようなコミュニティとして捉え、どのようにつないでいけるのか?社会学、会計論、ケーススタディ、実証プロジェクトなど多様な観点から向き合っていきます。

 

第1部 オープニング  「人×企業×地域の新たな関係」
第2部 入門ワークショップ  「あなたの『ローカル』を価値に変える」
第3部 テーマディスカッション 「人の価値は金額で測れるのか?」
第4部 ケーススタディ  「グローバルコスト最適から地域共創経営への深化」
第5部 ビジネスレクチャー  「ローカル・ゼブラ企業から見える 人×企業×地域の新たな関係」
第6部 ケーススタディ  「アラムナイを中核人材とするイノベーションの創出」
第7部 ワークショップ  「広島駅ナカクラブ構想」
第8部 クロージングとダイアローグ

 

第1部:オープニング「人×企業×地域の新たな関係」

参加者の濃密な一日は、ひと・しごと・つながりラボ代表の木谷宏 教授によるオープニングセッションから始まりました。

ここで問われたのは、企業や地域により創出されるつながりが薄れていく中で、私たちが次なるつながり方をどのように求めていくのか、という根源的な問いです。CSR論の発展により企業は人や地域とのつながりを深めてきたように見えて、その実態は形式的で不十分なものに見えます。人々の生活や働き方が多様化するにつれ、仕事と生活が切り離され、企業のコミュニティとしての役割も希薄化しています。地域コミュニティの消失は、皆さんも日々の生活の中で実感をされているかと思います。

こうした背景の中で、新たに人々をつなぐ役割を持つものは何なのか?HBMSやSMOフロンティア研究所は、その中でどのような役割を担うことができるのか。私たちの一日は、こうした問いから始まりました。

 

第2部:入門ワークショップ「あなたの『ローカル』を価値に変える」

ワークショップにより、地域に生きる私たちがもつ「微細知」に注目し、ビジネスとしての可能性を探っていきました。

何気なく生きているように見えて、実はその過程で生まれるローカルな知識やつながりの蓄積は、他の人の蓄積と掛け合わせることで意外な価値を生む可能性があります。一人一人が自分を肯定し、オープンに周りとつながっていくことができるコミュニティこそが、社会にとって重要なものであるということが体感できるセッションでした。

 

第3部:テーマディスカッション「人の価値は金額で測れるのか?」

一般に企業価値というものは将来にわたって生み出すキャッシュを元に算出されるため、従業員の金銭的な価値というものは充分な評価を受けていません。正しく評価を受けることができなければ、最も重要な経営資源であるはずの「ひと」の価値を毀損し、正しく遇することもできず、誤った経営判断を導くことになりかねません。

一方で、「ひと」に価値をつけてしまうことは、その尊厳をないがしろにし、金銭価値を向上させることが目的化してかえって大きな不幸を生むことにつながる、という危険もはらんでいます。

その両面をにらみながら、人の価値を可視化してコミュニティ全体としてよりよい意思決定や統合の結果をもたらそうとする試みは、非常に意義深いものと思えます。40分の短いセッションとワークショップの中で、各参加者が難解な問いに向き合いました。

 

第4部:ケーススタディ「グローバルコスト最適から地域共創経営への深化」

呉市の自動車部品メーカーである、ベンダ工業の事例をケースとして取り上げました。ベンダ工法という独自技術を競争力の源泉とし、グローバルに展開を重ねる力強い企業です。その道のりは平坦ではなく、海外進出の過程においては相当の苦しみを乗り越えられ、現在は呉市という地域コミュニティの中で非常に重要な役割を果たされています。

人口減少の進む地方自治体においては、地域の衰退が企業の存続に直結します。しっかりと地域に向き合うことによって、企業の未来をも作り出していこうとされる姿勢は、「人×企業×地域」をつなぐコミュニティとしての在り方を示しており、ひと・しごと・つながりラボにおいて非常に重要な事例となりました。

 

第5部:ビジネスレクチャー「ローカル・ゼブラ企業から見える 人×企業×地域の新たな関係」

客員研究員である経済産業省 中国経済産業局 地域経済部イノベーション推進課 高城課長より「ローカル・ゼブラ企業」についてのレクチャーをいただきました。

ゼブラ企業とは、2017年にアメリカの女性起業家4名により提唱された概念で、社会課題解決と経済成長の両面を目指す企業のことです。日本では中小企業庁により、社会課題を成長のエンジンに転換していく、地域経済の新しい担い手となり得る事業者(ローカル・ゼブラ企業)の創出・育成に向けて「地域課題解決事業推進に向けた基本指針」が策定されています。公的機関やNPOに任せがちになっていた社会課題解決に新しい枠組みを提示する概念で、具体的な取り組み事例も多くご紹介頂きました。

ローカル・ゼブラ企業とは、人×企業×地域を新たな形でつなげ、三方よしを作り出さんとする、非常に重要な枠組みであることを参加者全員で共有することができました。

 

第6部:ケーススタディ「アラムナイを中核人材とするイノベーションの創出」

HBMSは設立から10年を迎え、毎年約30名、合計して約300名の卒業者(アラムナイ)が輩出されました。こうしたネットワークを活かすために、ひと・しごと・つながりラボでは「広島駅ナカクラブ」の構想が進められています。

スナックを模した空間にて地域の経営者とアラムナイを結んで、経営や新規事業の悩みを気負いなく共有する場を提供し、カジュアルな空間における関係性と偶然性(セレンディピティ)から共感を生み、イノベーション創出につなげようとする試みです。

2026年1月までに計4回の試行を行い、中国新聞にも活動が取り上げられました。HBMSやSMOフロンティア研究所がどのように人×企業×地域を繋ぐことができるのかを明らかにするための、非常に重要な実証実験です。

こうした場でのつながりや経験を得られることは、HBMS在校生や入学を志す人たちにとっても、卒業後のかかわり方として間違いなく魅力的な選択肢になるはずです。

 

第7部:ワークショップ「広島駅ナカクラブ構想」

第6部を受けてのワークショップでは、広島駅ナカクラブ構想のさらなる進化に向けた提案を、講師陣を含めた参加者全員で協議しました。活発な議論や講師陣のファシリテーションにより、これまでの活動の再定義や、改善に向けた提案が多く生み出されました。

そうした過程の中で、参加者一同が広島駅ナカクラブ構想の持つ意義や有用性を再確認でき、今後の活動推進に向けたチームアップとしても非常に有意義な時間となりました。

「広島駅ナカクラブ構想」の今後の活動についてもぜひご注目ください。

 

第8部:クロージングとダイアローグ

最後のクロージングとダイアローグは、木谷教授によるファシリテーションのもと、講師陣と参加者が一体となってその日の学びを共有しました。

一人一人の発言が深みと重みを持ち、互いに気づきを与え、最後の最後まで貴重なエッセンスの詰まった良い学びの時間を過ごすことができました。

 

結びに

朝9時から夕方16時までの約8時間、木谷教授や客員研究員の方たちのこれまでの活動が凝縮された、ひと・しごと・つながりラボの現時点での成果の集約とも呼べる、貴重な学びの時間を得ることができました。今回はHBMS修了生、在校生に向けた限定的な講座でしたが、来年以降での講座の公開化に向けても準備を進められているようです。興味を持たれた方は、今後の動きについてもぜひご注目下さい。

人×企業×地域の関係性やコミュニティの在り方は、地域や企業と共存して生きる私たち一人ひとりにとっても見過ごすことのできない重要なテーマです。本レポートが、皆さんにとってそれらを考えるちょっとしたきっかけになれば幸いです。

 

開催概要

科目名:SMOフロンティア研究所 特別講座「持続性を高める人・企業・地域の関係性を考える Ⅱ」

日時:2026年2月28日(土)1~4限(4コマ連続開講)

会場:広島キャンパス1棟2階1275講義室 ※対面のみ

対象者/定員:修了生を中心に約20名

内容:本授業では、新しい社会に向けて企業が変わるべき方向性を人的資本経営、新たな働き方、ローカルゼブラなどの動向、および先進企業が地域や個人と連携して進めている取組み事例を踏まえて学習する。また、地域や企業によるユニークな取組みをテーマにケーススタディ、グループディスカッション、ワークショップなどを行ない、地域企業において人×企業×地域の視点で新たな価値創造に向けた施策立案を試みる。

主催:県立広島大学ビジネススクールHBMS SMOフロンティア研究所 人事・組織研究会

費用:無料

 

 

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