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2023年スタンフォード大学連携科目1(第2回)「シリコンバレーの バイオテックベンチャー事情」を開催しました

2023年1月28日(土)、スタンフォード大学SPICE(Stanford Program on International and Cross-Cultural Education)と本学が共同で開発したプログラムSHCPE1「スタンフォード大学連携科目(SHCPE: Stanford Hiroshima Collaboration Program on Entrepreneurship)」の第2回目の講義をZoomで開催しました。

各授業では、授業の一週間前にスタンフォード大学の学習管理システム”Canvas”で事前に資料を読み意見を投稿し、前日までにその意見にコメントしあい、意見交流をします。

今回の事前課題・ディスカッショントピックは以下の3つでした

  1. 参考資料に記してある内容のなかで、自分が現在所属している会社や組織、もしくは広島という地域に応用できるポイントがあるか考えてみてほしい。あるとすればどのような応用が可能か、詳しく共有して欲しい。

  2. バイオテックベンチャーの最先端でおこった「シリコンバレー史上最大の詐欺」といわれるセラノス社の事件が現代社会に示唆するものとはなんだろうか。先端技術の発展とともに世の中のしくみがますます複雑化するなかで、セラノス事件のような科学技術をめぐる不正を未然に防ぐために、私たちにはどのような取り組みができるだろうか。今後日本(広島)にバイオテックベンチャーを増やしていくにあたり留意すべきことはあるだろうか。

  3. ゲストの陸(榊原) 氏に聞きたいことや、クラス中にディスカションで取り上に聞きたいことや、クラス中にディスカションで取り上げたいポイント(興味をもった点、疑問に思った点など)げたいポイント(興味をもった点、疑問に思った点など)

今回のゲスト講師は陸(榊原) 翔(Riku (Sakakibara) Shan)さんで、「シリコンバレーのバイオテックベンチャー事情」という講義を行って頂きました。

以下、学生による受講記録です。

 

学生による受講記録

 Module2では、BillionToOne社(遺伝子検査のバイオベンチャー)にてプロダクト、マーケティング、メディカル・アフェアーズ、クリニカル・アフェアーズ(治験)の事業責任者を務める陸(榊原) 翔さんをゲストスピーカーにお迎えした。前半は陸さん自身のキャリアとシリコンバレーのバイオテックベンチャー事情をご説明いただき、後半はチームで設定したテーマを基にクラスディスカッションを行った。
 前半の授業の冒頭、陸さんからスライド上で数十個のワードが示され、「自身が大切にしている価値観」として選ぶとしたら何を選ぶか?と問いかけられた。チャット上では「成長、学び、笑い」や、「創造力、成長、スリル」といった様々なワードが参加者から飛び交ったが、陸さんは「インパクト、好奇心、公平さ」の3つが自身の価値観であると説明された。陸さんは自ら「まっすぐでない経歴」と言われた通り、BillionToOne社に就職される前は経営コンサルタントやインターネット事業会社での新規事業立ち上げなどのキャリアを経てこられたが、社会の課題を解決し、多くの人に「インパクト」を与える仕事に携わること、「知的好奇心」をくすぐられる環境に身を置くこと、先進国から途上国まであらゆる人が便益を享受できる「公平」な社会を作るという3つの軸は首尾一貫していた。そして今のバイオテックベンチャーでの仕事に「生きがい=Ikigai」を感じているとおっしゃる姿は印象的だった。自身の価値観を突き詰め、やりがいを見いだせる仕事を模索し、見つけた仕事に対して全力を尽くすスタンスは、社会に価値を提供するプロダクトを生み出し、社会を変えるアントレプレナーにとって必要不可欠な姿勢であることを、参加者一同感じ取った。
 後半では、チームで設定したテーマ「なぜ起業するのか?」を軸に、起業することが本授業のテーマである「よく生きる」ことにどのように繋がるのか、参加者全員でディスカッションを行った。参加者からは、「アメリカと日本で起業熱に差が生じるのはなぜか」、「起業時とスケール後でアントレプレナーの価値観は変化するのか」といった様々な議論が巻き起こった。ディスカッションのまとめとして「起業は目的ではなく手段であり、自分自身が大切にしている価値観やパーパスを達成するために行うもの」とチームで整理したが、講義の最後、陸さんから「よく生きるためには、自分にウソをつかず、自分に何が出来るか懸命に考え取り組むこと」が重要であると考えを述べていただいたことから、自分自身が実直に、懸命に向き合える課題があるのであれば、起業の選択肢が自然発生的に出てくるものであるとも感じられた。
 高校卒業後はMIT、スタンフォードなど複数の学びを経験され、様々な職種を経験後に現在はバイオベンチャーという変化の激しい業界に身を置かれる姿には感服するばかりであったが、陸さんにはユーモアを交えながら様々なコメントとアドバイスをいただき、ファシリテーションもスムーズに行うことが出来た。この場を借りて御礼申し上げたい。

ゲスト講師について

陸(榊原) 翔
Riku(Sakakibara), Shan

中国・上海生まれ。8歳で渡日し、小・中・高を日本で過ごす。大学からはマサチューセッツ工科大学に進学し、化学を専攻。マッキンゼー社東京支社勤務を経て、ハーバード大学ケネディ政策大学院にてMPA/ID、スタンフォードビジネススクールにてMBAを取得。クックパッド社米国新規事業立ち上げ責任者を経て2015年より米国バイオテックベンチャーに身を置く。2019年よりBillionToOne 社(遺伝子検査のバイオベンチャー)にてプロダクト、マーケティング、メディカル・アフェアーズ、クリニカル・アフェアーズ(治験)の事業責任者を務める。

次回について

次回は2月11日で、ゲストスピーカーに本間 毅さんを迎え「シリコンバレーで未来の住宅を〜HOMMA, Inc. 創業への経緯〜」という題目で講話を行っていただきます。

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