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2023年スタンフォード大学連携科目1(第4回)「シリコンバレー 最先端技術領域における挑戦 〜ASKA 起業体験の共有〜」を開催しました
2023年3月4日(土)、スタンフォード大学SPICE(Stanford Program on International and Cross-Cultural Education)と本学が共同で開発したプログラムSHCPE1「スタンフォード大学連携科目(SHCPE: Stanford Hiroshima Collaboration Program on Entrepreneurship)」の第4回目の講義をZoomで開催しました。
各授業では、授業の一週間前にスタンフォード大学の学習管理システム”Canvas”で事前に資料を読み意見を投稿し、前日までにその意見にコメントしあい、意見交流をします。
今回の参考資料は以下のとおりでした。
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女性取締役の選任を義務付ける州法~施行後のアップデート~Links to an external site.
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GEにスタートアップを売却した日本人女性の人生Links to an external site.
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大企業=エリートではない。3児の母が「空飛ぶ車」に挑む理由Links to an external site.
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理想的なチーム作りには4+2タイプの人材が必要
事前課題・ディスカッショントピックは以下の3点でした。
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日本でも多様性(ダイバーシティ)という言葉が聞かれるようになった。理事会メンバーの多様化を義務付けたり、採用の門戸を広げることで、これまで対象外だったグループからも優秀な人材を確保して革新的なアイデアを誘発し、利益を増やして競争力を向上させ、企業価値を高めるといったビジネス視点の議論がなされている。多様な従業員がいること、多様な役員メンバーが揃っていることは、自ずと革新的な発想や活動につながるのだろうか。日本とシリコンバレー(アメリカ)の歴史的文化や企業文化、社会的規範や国民性、働き方に対する考え方といった要素を鑑みつつ、自由に意見を述べてほしい。
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シリコンバレーの投資家はスタートアップに出資するかを判断する際に「チームを見る」と言われる。良いチームが持続するポイントは何だろうか?また企業の発展段階ごとに創業チームが直面する課題はどんなふうに変わっていくだろうか?自らの経験を踏まえつつ自由に書き込んでほしい。
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ゲストのカプリンスキー氏に聞きたいことや、クラス中にディスカションで取り上げたいポイント(興味をもった点、疑問に思った点など)
今回のゲスト講師はカプリンスキー真紀さんで、「シリコンバレー 最先端技術領域における挑戦 〜ASKA 起業体験の共有〜」という講義を行って頂きました。
以下、学生による受講記録です。
学生による受講記録
モジュール4では2018年にASKA(NFT Inc)を創業しASKA Drive&Fly eVTOL(陸空両用の垂直離着機)を開発、2026年の製品化へ日々奮闘するカプリンスキー真紀さんをゲストスピーカーとしてお迎えした。
授業の前半はカプリンスキーさんによるeVTOL(空飛ぶクルマ)についてご説明をしていただき後半は参加する学生全員と「アントレプレナーのDNA抽出」と「次世代アントレプレナーの育成プログラム開発」の2つをテーマにクラスディスカッションを行った。
eVTOL(空飛ぶクルマ)の開発を行う会社は世界に約300社存在するが、垂直離発着と公道の走行が可能なのはASKAだけ。空飛ぶクルマが実用化されることで交通渋滞緩和や過疎地域の活性化、緊急医療や災害現場、観光事業などあらゆる場面で活用できると同時にこれらは社会問題の解決に繋がることを確信されていた。空飛ぶクルマのような画期的な製品開発が行えたことはチャレンジ精神と情熱を持ち続けるチームのおかげだと語っていた。良いチーム作りについて特に意識したことは無いと言われていたが、コミュニケーションは重要だと話されていたことが印象に残った。チーム全体でコミュニケーションを図っているため基本的にリモートワークは実施せず出社して対面することを決めているとのこと。コロナ禍で非接触やリモートワークが推奨される中、対面によるコミュニケーションの重要性を改めて実感することができた。
授業の後半はカプリンスキーさんご自身の価値観からアントレプレナー育成や起業に関するマインドをお話しいただいた。カプリンスキーさんの価値観は「自分のポテンシャルを最大限に活かし、社会に必要とされることに応える」こと。空飛ぶクルマの開発は自身のポテンシャルを発揮する現場であり、その実用化は社会問題の解決に直結する。自分の価値観に実直に生きていられる、これこそが「よく生きる」ということに繋がっていた。これほどまでにカプリンスキーさんが仕事に取り組めるのは幼少期にお父様が他界したことが一つの要因だった。お父様が他界し暫くした後、闘病中に書かれたメモが発見されそこには「こんなはずじゃなかった」と書かれてあった。このメモからカプリンスキーさんは自分の人生は精一杯生きようと決心された。空飛ぶクルマの開発や実用化に情熱を注ぎ社会問題の解決に立ち向かう源泉はここから出ているのではないかと感じた。
学生から「もしアントレプレナー育成プログラムを実施するならどのようなプログラムを計画しますか?」という質問に対し「プログラムは作らない」と返答された。アメリカには「ストーリーテリング」の教育文化があるという。起業を目指す人は実際に起業をした人から話を聞きそこで学びを得ているそうだ。アントレプレナー育成には実際に起業をされた方の話しを聞くことが重要だと語られた。
カプリンスキーさんの講和を聞き感じたことは、今までのゲストスピーカーも今回と同様のことを話されていたということだ。自身の持つ価値観やチームビルディング、社会課題を解決しようとする姿勢等どれも共通することだった。全4回のモジュールを受講したことで自分の中にもアントレプレナーのDNAが組み込まれたと思う。将来目標にしている起業に向け邁進していきたい。
ゲスト講師について
カプリンスキー真紀 (Maki Kaplinsky)
Cofounder & Chair/COO, ASKA
愛知県出身。イスラエルBar Ilan大学にて修士課程修了後、日商岩井(現・双日株式会社)にてビジネス開発を担当する。2001年にテルアビブで起業。政府関連の技術移転プロジェクトを15か国以上で手掛ける。2011年に東京にてIQP Corporationを設立し、コーディング不要でIoTアプリケーションを開発できるプラットフォームを開発。2016年にシリコンバレーへ拠点を移し、2017年にIQP Corporationをゼネラルエレクトリック社(GE) へ売却する。2018年にASKA(NFT Inc) を創業。ASKA™Drive & Fly eVTOL(陸空両用の垂直離着機)を開発、2026年の製品化へ向けて奮闘している。パイロット訓練中。3児の母。ロスアルトス在住。
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